秋の美しい紅葉を楽しみに手入れをしていたのに、カミキリムシの被害に遭ってお困りではありませんか。
実は、もみじは虫がつきやすい性質があり、特に深刻なのが、もみじの害虫が幹に侵入するケースです。これを放置すると、大切な木が枯れる危険性も少なくありません。
この記事では、紅葉の木のカミキリムシ被害に悩むあなたのために、効果的な駆除方法から確実な予防策、そして総合的な紅葉の虫対策まで、専門的な視点から詳しく解説します。
諦めかけていたカミキリムシにやられた木の復活方法にも光を当て、大切なもみじの復活を全力でサポートしますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- 紅葉(もみじ)にカミキリムシがつきやすい理由
- カミキリムシによる被害のサインと見つけ方
- 初心者でもできる具体的な予防策と駆除方法
- 被害を受けた大切な木を復活させるための処置
紅葉を襲うカミキリムシの生態と被害

- なぜもみじは虫がつきやすいのか?
- 紅葉の木とカミキリムシの厄介な関係
- もみじの害虫が幹に与える被害とは
- 放置で枯れる?テッポウムシの脅威
なぜもみじは虫がつきやすいのか?

結論から言うと、もみじ(カエデ科の植物)が虫、特にカミキリムシに狙われやすい最大の理由は、その樹液が甘いからです。
カミキリムシの成虫や幼虫にとって、糖分を豊富に含む樹液や樹皮は非常に魅力的な栄養源となります。カナダの名産品であるメープルシロップが、カエデの樹液から作られることを思い浮かべると分かりやすいでしょう。このように糖度の高い樹液を持つことが、結果として多くの害虫を引き寄せる一因になっているのです。
また、もみじは比較的樹皮が柔らかい品種が多く、カミキリムシの成虫が産卵のために傷をつけやすいという側面もあります。特に、夏の猛暑や水不足などで樹勢が弱っている木は、虫に対する抵抗力が落ちてしまい、さらに被害を受けやすくなる傾向にあります。

紅葉の木とカミキリムシの厄介な関係
紅葉の木(もみじ)とカミキリムシの関係は、木の成長サイクル全体にわたって被害を及ぼす非常に厄介なものです。加害するのは幼虫だけではなく、成虫も木にダメージを与えます。
成虫による被害
カミキリムシの成虫は、5月下旬から8月頃にかけて活動が活発になります。成虫は、もみじの若く柔らかい枝の樹皮や葉を後食(羽化後に栄養を摂取するための食事)としてかじります。これにより、かじられた部分から先の枝が枯れてしまったり、木の美観が損なわれたりすることがあります。
幼虫(テッポウムシ)による被害
しかし、より深刻なのは幼虫による被害です。成虫は木の幹の根元に近い部分に卵を産み付けます。孵化した幼虫は「テッポウムシ」と呼ばれ、名前の通り、幹の内部に侵入し、鉄砲で撃ったかのような穴を空けながら木の内側を食い荒らしていくのです。この食害が、木の健康に致命的な影響を与えます。
もみじを好む代表的なカミキリムシ
- ゴマダラカミキリ: 最もポピュラーな種類。黒い体に白い斑点模様が特徴です。もみじだけでなく、ミカンやイチジク、バラなど幅広い樹木に被害を与えます。
- アオカミキリ: 光沢のある美しい緑色をしていますが、カエデ科の植物のみを専門に加害するカミキリムシです。
このように、成虫が外側から、幼虫が内側からと、世代を通じて木を攻撃するため、一度住み着かれると根絶が難しいのが実情です。
もみじの害虫が幹に与える被害とは

カミキリムシの幼虫(テッポウムシ)による被害は、木の内部で静かに進行するため、発見が遅れがちです。しかし、注意深く観察すれば、いくつかの特徴的なサインを見つけることができます。
最大のサインは、木の根元や幹におがくずのような木くずが落ちていることです。これは「フラス」と呼ばれる幼虫のフンと木くずが混ざったもので、幼虫が内部で活動している何よりの証拠となります。
テッポウムシ被害のチェックリスト
- フラス(木くず状のフン): 幹の根元や地面に、おがくずのようなものがないか確認する。
- 小さな穴: 幹に直径2mm程度の小さな穴が空いていないか探す。これが幼虫の侵入孔です。
- 樹液の染み出し: 穴の周辺から樹液がにじみ出ていることがある。
- 樹皮の浮き: 幹の一部を指で押してみて、ブカブカと浮いた感触がないか調べる。内部が空洞化している可能性があります。
これらのサインは、特に地面から高さ50cmくらいまでの幹で発見されやすい傾向があります。なぜなら、カミキリムシの成虫が比較的低い位置に産卵することを好むためです。

早期発見が、木を救うための最も重要な鍵となります。おがくずのようなものを見つけたら、すぐに対処を検討しましょう。
放置で枯れる?テッポウムシの脅威
「おがくずが出ているけれど、葉はまだ青々しているから大丈夫だろう」と考えるのは非常に危険です。テッポウムシの被害を放置すると、最悪の場合、木全体が枯れてしまう可能性があります。
その理由は、幼虫が木の生命線とも言える部分を食い荒らすからです。
道管・師管の破壊
テッポウムシは、樹皮のすぐ内側にある「形成層」を好んで食べます。形成層は、根から吸い上げた水や養分を運ぶ「道管」と、葉で作られた栄養を木全体に送る「師管」を作り出す重要な組織です。
ここが食害されると、人間で言えば血管を傷つけられるのと同じ状態になります。水分や栄養が木の上部に行き渡らなくなり、徐々に枝が枯れ始め、最終的には木全体の枯死につながるのです。
特に若木は要注意!
樹齢の浅い若い木や、幹の細い木は、幼虫1匹の食害でも致命傷になることがあります。幹が細い分、形成層を一周ぐるりと食べられてしまうと、水の通り道が完全に遮断されてしまい、あっという間に枯れてしまう危険性が高いです。
テッポウムシの被害は、外から見ただけでは分かりにくいですが、内部では木の命を脅かす深刻な事態が進行しているのです。サインを見つけたら「まだ大丈夫」と楽観視せず、迅速な対応を心がけましょう。
紅葉のカミキリムシ対策!予防・駆除・復活法

- 被害を防ぐための基本的なカミキリムシ予防
- 年間を通じた紅葉の虫対策のポイント
- 幼虫と成虫で異なるカミキリムシの駆除
- 大切な木を守るための総合的な対策
- 弱ったモミジの復活は可能か?
- カミキリムシにやられた木の復活手順
被害を防ぐための基本的なカミキリムシ予防
カミキリムシの被害から大切なもみじを守るためには、成虫に卵を産み付けさせない「予防」が最も重要です。一度侵入されると駆除が大変なため、まずは寄せ付けない環境作りを徹底しましょう。
予防策は、大きく分けて3つのアプローチがあります。
1. 物理的予防(産卵を直接防ぐ)
成虫の産卵を物理的にブロックする方法です。
- 防虫ネット・不織布: 産卵期である6月~8月に、カミキリムシが産卵しやすい地面から50cm〜1m程度の高さの幹に、目の細かい防虫ネットや不織布を巻き付けます。これが最も確実な方法の一つです。
- 予防樹脂フィルム: 市販されているカミキリムシ予防用の樹脂フィルムを幹に塗布します。これは木の表面をコーティングして産卵を防ぐだけでなく、木が発する匂いを遮断して成虫を寄せ付けにくくする効果も期待できます。
2. 環境的予防(木を健康に保つ)
カミキリムシは、樹勢が弱った木を好んで狙います。木自体を健康に保つことが、何よりの予防策になります。
カミキリムシだけでなく、代表的な病気であるうどんこ病の対策も併せて行い、木全体の抵抗力を高めてあげましょう。
うどんこ病の対策は「紅葉のうどんこ病対策|原因と治し方、おすすめの薬を解説」をご覧ください。
- 適切な剪定: 枯れ枝や混み合った枝を定期的に剪定し、風通しと日当たりを良く保ちます。これにより、木全体の健康が促進されます。
- 適切な水やりと施肥: 夏場の乾燥や冬場の水切れに注意し、土の状態に合わせた水やりを行います。また、休眠期である冬に寒肥を与えるなど、適切な施肥で樹勢を維持しましょう。
- 除草: 木の根元の雑草を放置すると、カミキリムシの隠れ場所になったり、被害の発見が遅れたりする原因になります。常に清潔な状態を保つことが大切です。
3. 化学的予防(薬剤で寄せ付けない)
薬剤の力を借りて、成虫を遠ざける方法です。
- 木酢液・竹酢液: 天然成分である木酢液などを定期的に幹に散布することで、カミキリムシが嫌う匂いで寄せ付けにくくする効果が期待されます。
- 登録農薬の散布: 産卵期に、カミキリムシに適用のある殺虫剤を幹に散布しておく方法もあります。使用の際は、必ず用法・用量を守ってください。

年間を通じた紅葉の虫対策のポイント

カミキリムシ対策は、特定の時期だけ行えば良いというものではありません。年間を通じた管理計画を立て、それぞれの季節に応じた適切な対策を講じることが、被害を最小限に抑える鍵となります。
以下に、季節ごとの対策ポイントをまとめました。
時期 | 主な活動 | 対策のポイント |
---|---|---|
春(3月~5月) | 越冬した幼虫が活動再開。成虫が羽化し始める。 | ・樹勢の回復: 冬の間に寒肥を与え、春の芽吹きをサポートする。 ・早期発見: 新芽の出が悪い枝がないか、フラス(木くず)が出ていないか、定期的に幹周りをチェックする。 |
夏(6月~8月) | 産卵の最盛期。成虫の活動が最も活発になる。 | ・産卵防止: 防虫ネットや樹脂フィルムを幹に設置する。 ・成虫の捕殺: 庭で見かけたら、その場で捕殺して産卵を防ぐ。 ・薬剤散布: 予防的に殺虫剤や忌避剤を散布する。 |
秋(9月~11月) | 幼虫が成長し、食害が進行する。 | ・被害の確認: 夏の間に産卵された可能性を考え、フラスが出ていないか徹底的にチェックする。 ・早期駆除: 被害を発見したら、すぐに後述する駆除作業を行う。 |
冬(12月~2月) | 幼虫は幹の内部で越冬。成虫はいない。 | ・剪定: 木が休眠期に入るため、不要な枝や枯れ枝の剪定に適した時期。風通しを良くして来春に備える。 ・寒肥: 堆肥などの有機質肥料を施し、土壌環境を改善して木の体力を養う。 |
ポイント
年間対策の最大のコツは「定期的な観察」です。特に、産卵期である夏と、被害が目に見えてきやすい秋のチェックは欠かせません。週に1〜2回、木の周りを歩いて観察する習慣をつけるだけで、被害の早期発見に繋がります。
このように、カミキリムシの生態サイクルに合わせて年間計画を立てることで、より効果的な対策が可能になります。
幼虫と成虫で異なるカミキリムシの駆除
もし予防策を講じていても被害に遭ってしまった場合は、迅速な駆除が必要です。駆除方法は、相手が成虫か幼虫かによって異なります。
成虫の駆除
成虫は木の外部にいるため、比較的対処しやすいです。
- 捕殺: 庭の木や壁に止まっているのを見つけたら、その場で捕まえて駆除するのが最も確実で効果的です。1匹のメスが数百個の卵を産む可能性があるため、1匹でも見逃さないことが重要になります。涼しい朝や夕方は動きが鈍いため、見つけやすい時間帯です。
幼虫(テッポウムシ)の駆除
木の内部にいる幼虫の駆除は、少し手間がかかりますが、木を救うためには必須の作業です。
幼虫駆除の手順
- 穴の特定: フラス(木くず)が出ている場所を頼りに、幼虫が侵入した穴(直径2mm程度)を見つけます。
- 殺虫剤の注入: 見つけた穴に、園芸用のカミキリムシ専用殺虫剤(ノズル付きのスプレータイプ)のノズルを深く差し込み、薬剤を注入します。薬剤が逆流することがあるため、保護メガネを着用すると安全です。
- 物理的な駆除(薬剤を使わない場合): 針金のような細くて硬い棒を穴に差し込み、中の幼虫を刺し殺す方法もあります。ただし、幼虫に届かなかったり、駆除できたか確認が難しかったりするデメリットがあります。
- 穴を塞ぐ: 駆除作業が終わったら、その穴から雨水や別の病原菌が侵入するのを防ぐため、園芸用の癒合剤やパテで必ず穴を塞ぎます。
薬剤の使用に関する注意
専用の殺虫剤を使用する際は、必ず製品ラベルに記載された使用方法、適用植物、使用回数を守ってください。また、薬剤が周囲の植物やペットにかからないよう、風のない日に行うなどの配慮が必要です。
- 代表的な薬剤: 園芸用キンチョールE、テッポウダン、ガットキラー乳剤などがあります。お近くの園芸店やホームセンターで相談してみてください。
幼虫の駆除は、木へのダメージを最小限に食い止めるための緊急手術のようなものです。フラスを見つけたら、できるだけ早く対処しましょう。
大切な木を守るための総合的な対策

ここまで解説してきた予防策や駆除方法を個別に実施するだけでなく、それらを組み合わせた「総合的な対策」を継続していくことが、カミキリムシの被害から大切なもみじを長期的に守る上で最も重要です。
これは「総合的病害虫管理(IPM: Integrated Pest Management)」という考え方に基づいています。単に薬剤に頼るのではなく、様々な方法を組み合わせて、病害虫の発生を抑制し、環境への影響も少なくする管理手法です。
もみじを守るための総合対策3つの柱
- 耕種的防除(木を強くする)
- 基本: 適切な剪定、水やり、施肥を徹底し、木そのものの抵抗力を高める。健康な木は、虫の被害を受けても回復しやすく、そもそも狙われにくいです。
- 物理的防除(虫を寄せ付けない・入れない)
- 基本: 防虫ネットの設置や、成虫の捕殺など、物理的な手段で被害を防ぐ。日々の観察がこの防除法の効果を大きく左右します。
- 化学的防除(最後の手段としての薬剤)
- 基本: 予防的な忌避剤の散布や、被害発生時の殺虫剤の使用。薬剤はあくまで補助的な手段と位置づけ、必要最低限の使用に留めることが望ましいです。

特に重要なのは、定期的なモニタリング(観察)です。週に一度は木の周りを歩き、フラス(木くず)がないか、枯れ枝が増えていないか、成虫が飛来していないかなどをチェックする習慣をつけましょう。病害虫の被害は、どんな対策よりも早期発見が最も効果的な対処法となります。
これらの対策を総合的に、そして継続的に行うことで、カミキリムシの発生リスクを大幅に低減させ、美しいもみじの健康を維持することができるのです。
弱ったモミジの復活は可能か?
カミキリムシの被害に遭い、弱ってしまったもみじを見て「もう手遅れかもしれない」と諦めてしまう方も少なくありません。しかし、適切な処置を施せば、木が復活する可能性は十分にあります。
復活できるかどうかの判断基準は、幼虫による食害の程度にかかっています。
復活の可能性が高いケース
- フラス(木くず)の量が少ない、または発見が早かった。
- 幹の食害が一部分に留まっている。
- 葉が枯れているのが一部の枝だけで、幹や他の主要な枝はまだ生きている。
復活が難しいケース
- 幹の根元を一周ぐるりと食害されている。
- 幹の大部分がスカスカになっており、手で押すとぐらつく。
- ほとんどの葉が枯れ落ちてしまい、新芽が出る気配がない。
特に、形成層を一周食べられてしまうと、水の吸い上げが完全にストップしてしまうため、復活は極めて困難になります。

木の生命力を信じて、まずは原因となっている幼虫を徹底的に駆除し、回復のためのサポートをしてあげることが大切です。
カミキリムシにやられた木の復活手順

カミキリムシの幼虫を駆除した後は、木が自らの力で回復していくのを助けるための「アフターケア」が非常に重要です。この手順を丁寧に行うことで、木の復活率を大きく高めることができます。
ステップ1: 駆除した穴の清掃と殺菌
前述の通り、幼虫を駆除しただけでは終わりではありません。幼虫が開けた穴は、雨水や新たな病原菌が侵入する入り口になってしまいます。 まず、穴の周辺の木くずなどをきれいに取り除きます。その後、殺菌剤を穴の中や周辺に塗布し、病気の発生を防ぎます。
ステップ2: 癒合剤で穴を保護する
殺菌処理が終わったら、癒合剤(ゆごうざい)を使って穴を物理的に塞ぎます。癒合剤は、木の切り口や傷口を保護するためのペースト状の薬剤で、「カルスメイト」や「トップジンMペースト」といった商品が有名です。
- 役割:
- 雨水や雑菌の侵入を防ぐ。
- 傷口の乾燥を防ぎ、木の自己修復(カルス形成)を助ける。
- さらなる害虫の侵入を防ぐ。
チューブから直接、またはヘラなどを使って、穴を埋めるように丁寧に塗り込みます。
癒合剤がない場合の応急処置
もし専用の癒合剤が手元にない場合は、木工用ボンドで代用することも可能です。ただし、殺菌効果などはないため、あくまで一時的な応急処置と考えてください。後日、園芸用の癒合剤を上から塗布するのが理想的です。
ステップ3: 樹勢の回復をサポートする
傷口の保護と同時に、木全体の体力を回復させるための管理を行います。
- 水やり: 土が乾いたらたっぷりと水を与え、水切れさせないように注意します。
- 活力剤: メネデールなどの植物活力剤を規定通りに薄めて与えるのも、根の活動を助け、回復を促進するのに効果的です。
- 施肥: すぐに肥料を与えるのは、かえって弱った根に負担をかけることがあります。まずは活力剤で様子を見て、木の回復が見られてから、緩効性の肥料などを少量与えるようにしましょう。
この一連の丁寧な処置が、木の生命力を引き出し、再び元気な姿を取り戻すための大きな助けとなります。
特に鉢植えで育てている場合は、適切な植え替えによって根の健康を保つことも、樹勢の回復に繋がります。
植え替えについては「もみじ盆栽の植え替え時期と手順・管理までわかる完全ガイド」で詳しく解説していますので、あわせてご覧下さい。
よくある質問|紅葉のカミキリムシ対策について
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木の根元に落ちているおがくずは、本当にカミキリムシの仕業ですか?
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はい、もみじの木の根元におがくず状のもの(フラス)が落ちている場合、9割以上の確率でカミキリムシの幼虫(テッポウムシ)が内部に侵入しているサインと考えて間違いありません。他の虫や病気が原因である可能性は極めて低いため、これを見つけたらすぐに対処を開始することをおすすめします。
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カミキリムシの成虫はいつ頃活動していて、見つけやすい時間帯はありますか?
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成虫の活動が最も活発になるのは5月下旬から8月頃です。特に、産卵のために木の幹を歩き回っている姿が見られます。比較的に動きが鈍くなる涼しい朝方や夕方は、捕殺しやすい狙い目の時間帯です。日中の暑い時間帯は、葉の裏などに隠れていることが多いです。
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スプレー式の殺虫剤を使いましたが、幼虫が本当に死んだかどうやって確認できますか?
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確実な判断方法は、新しいフラス(木くず)が出てこなくなるのを確認することです。薬剤を注入した後、穴の周りを綺麗に掃除し、数日から1週間ほど様子を見てください。その間、穴から新しいフラスが全く排出されなければ、中の幼虫は死んだと判断して良いでしょう。
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一度駆除すれば、来年はもう安心ですか?
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残念ながら、安心はできません。一度カミキリムシの被害に遭った木は、少なからず弱っているため、翌年以降も再び成虫に狙われやすい傾向があります。だからこそ、駆除後のケアと、本記事で紹介した年間を通じた予防策(特に産卵期の防虫ネットなど)を継続することが非常に重要になります。
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被害はもみじだけですか?庭の他の木も心配です。
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もみじは特に好まれますが、カミキリムシの種類によっては他の木にも被害が及びます。特に、代表的なゴマダラカミキリは食性が非常に広く、ミカンやレモンなどの柑橘類、バラ、イチジク、ヤナギ、クリなど、様々な庭木や果樹を加害します。お庭にこれらの木がある場合は、もみじと同様に注意深く観察してください。
紅葉のカミキリムシ対策で美しい庭を守る
【被害のサインと原因】
- カミキリムシ被害の主な原因はもみじの甘い樹液
- 成虫は枝葉を、幼虫(テッポウムシ)は幹の内部を食害する
- 被害の最大のサインは幹の根元に落ちるおがくず状のフン(フラス)
- 幼虫は木の生命線を破壊し、放置すると枯れる危険性がある
【予防と年間対策】
- 対策の基本は成虫に産卵させない「予防」が最も重要
- 予防には防虫ネット、樹脂フィルム、木の健康維持が効果的
- 木を健康に保つには適切な剪定・水やり・施肥が不可欠
- 年間を通じてカミキリムシの生態に合わせた対策を計画する
- 夏は産卵防止、秋は被害の早期発見に注力する
- 総合的な対策(IPM)の考え方が長期的な管理に有効
【駆除と復活の方法】
- 成虫は発見次第捕殺し、産卵を防ぐ
- 幼虫は専用スプレーや針金で駆除する
- 駆除後は必ず癒合剤で穴を塞ぎ、二次被害を防ぐ
- 被害に遭っても、幹が一周食べられていなければ復活の可能性がある
- 復活には駆除後の殺菌、傷口保護、活力剤の使用が鍵となる
