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盆栽の育て方

南天の木の育て方完全ガイド|植え付けから剪定、トラブル対策までプロが徹底解説

南天の赤い実と緑の葉を背景に、「南天の育て方 完全ガイド 植え付けから剪定・実つき改善まで」と表示されたアイキャッチ画像。

「難を転じて福となす」という言葉とともに、古くから縁起の良い木として親しまれてきた南天。美しい赤い実と緑の葉のコントラストは、冬のお庭や玄関先を鮮やかに彩ってくれます。

そんな南天の鉢植えを飾りたいけれど、正しい育て方が分からず一歩踏み出せないでいませんか。

この記事では、プロの視点から南天の木の育て方を徹底的に解説します。

最適な植える時期や植える場所の選び方といった基本から、地植えへの植え替え、生育を左右するおすすめの肥料や鉢植えの土の配合まで、具体的にお伝えします。

また、美しい樹形を保つための南天剪定のコツ、挿し木で増やす方法、鉢植えでコンパクトに小さく育てるテクニックも紹介。

「南天に実がたくさんつけるには?」「実がなるまで何年かかりますか?」といった、多くの方が抱える疑問や、葉が落ちるなどのトラブル対策まで、あなたの知りたい情報を余すところなく網羅しています。

あなたは今、こんなことで悩んでいませんか?

  • 南天の赤い実がなかなかつかず、原因がわからない…
  • 剪定の時期や方法がわからず、樹形が乱れてきた…
  • 鉢植えで育てているが、葉が落ちて元気がない…
  • 縁起物だからこそ、正しい育て方で元気に育てたい!

もし一つでも当てはまったなら、この記事があなたの疑問をすべて解決します。


南天の木 育て方の基本

南天を元気に、そして美しく育てるためには、まずその性質を理解し、基本となる生育環境を整えてあげることが何よりも大切です。植物にとって最適なスタートを切らせてあげることが、後の健やかな成長に繋がります。

ここでは、南天の植え付けに最適な時期や場所、そして日々の管理に欠かせない土や肥料の選び方について、初心者の方にも分かりやすく、より深く掘り下げて解説します。

最適な植える時期はいつ?

春の庭で若い日本人女性がストローハットをかぶり、黄色い手袋で苗を植えている様子。南天の植え付け時期に適した穏やかな環境をイメージさせる風景。
イメージ:苔っと盆栽ライフ

南天の植え付けや植え替えに最適な時期は、植物への負担が少ない気候の穏やかな春(3月~4月)秋(9月~10月)の年2回です。この時期に作業することで、南天のデリケートな根を傷めにくく、新しい環境へスムーズに順応させることができます。

それぞれの季節には異なるメリットがあります。

春植え(3月~4月)のメリット

春は、植物が休眠から覚めて最も活発に成長を始める時期です。このタイミングで植え付けることで、その後の成長期にすぐ入るため、根の張りが非常に早く、株が安定しやすいのが最大の利点です。特に、冬の寒さが厳しい寒冷地では、霜の心配がなくなった春に植え付けることで、冬が来る前に十分な体力(根張り)を確保できるため、春植えが断然おすすめです。

秋植え(9月~10月)のメリット

秋は、夏の厳しい暑さが和らぎ、冬の休眠期に向けて穏やかに気候が移行する時期です。この時期に植えると、冬までに根をじっくりと落ち着かせることができ、土壌に馴染むための十分な時間を与えられます。これにより、翌春に力強いスタートを切ることが可能になります。夏の猛暑による水切れのリスクが高い暖地では、秋植えの方が管理しやすいでしょう。

どちらの時期を選ぶにせよ、植え付け直後は根がまだ十分に水を吸い上げられない状態です。土の表面が乾かないように、水やりをこまめに行い、しっかりと根付くのをサポートしてあげましょう。

縁起の良い木に適した植える場所

日本人女性が伝統的な日本家屋の前で赤い実をつけた南天の苗を植えている様子。縁起の良い木を植える適した場所をイメージさせる庭の風景。
イメージ:苔っと盆栽ライフ

南天は、「強すぎる日差しは苦手、でも暗すぎるのも嫌い」という性質を持っています。そのため、一日を通して穏やかな光が当たる「半日陰」が最も適した場所と言えます。

具体的には、午前中だけ日が当たる東向きの場所や、ケヤキやカエデといった落葉樹の木漏れ日が優しく差し込むような環境が理想的です。

終日直射日光が当たる西向きや南向きの場所では、特に夏場に葉が焼けてしまい、茶色く変色してしまう「葉焼け」を起こす可能性があります。逆に、一日中日が当たらない北向きの場所では、株は枯れませんが、花つきや実つきが極端に悪くなる「徒長(とちょう)」という状態になりがちです。

また、土壌の水はけの良さも、場所選びの重要なポイントです。水はけが悪いと根が常に湿った状態になり、呼吸ができずに腐ってしまう「根腐れ」の原因となります。

植え付け予定の場所に水を撒いてみて、水がなかなか引かないようなら、土壌改良が必要です。掘り上げた土に、腐葉土やパーライト、川砂などを混ぜ込むことで、水はけと通気性を改善できます。

豆知識:鬼門に植える風習とその意味

前述の通り、南天は「難転」に通じることから、古くから魔除けや厄除けの木として信じられてきました。風水では、鬼が出入りするとされる方角である鬼門(北東)や、その反対側の裏鬼門(南西)に植えることで、家全体の運気を守るとされています。

玄関先に植えられることが多いのは、こうした災いが家の中に入り込むのを防ぐという意味合いが込められているのです。

これらの生育条件と文化的背景を考慮して最適な場所を選んであげることで、南天は元気に育ち、その魅力を最大限に発揮してくれるでしょう。

鉢植えの土の選び方

鉢植えは、地植えと違って使える土の量が限られているため、用土の質が南天の生育を直接的に左右します。重要なのは、「水はけの良さ(排水性)」と「適度な保水性・保肥性」という、一見矛盾する要素を両立させることです。

園芸初心者の方や、手軽に始めたい方には、市販されている「草花用培養土」や「花木用培養土」が最も簡単で確実です。これらの土は、園芸メーカーが植物の生育に最適なバランスで विभिन्न材料を配合しているため、購入してそのまま使用できます。

もし、ご自身の環境に合わせて土をカスタマイズしたい場合は、基本用土を自分で配合するのもおすすめです。その際の基本的な配合例を以下に示します。

用土の種類配合比率(例)役割と特徴
赤玉土(小粒)6ベースとなる土。無数の穴が空いており、水や空気を保持しつつ、余分な水は排出する性質を持つ。
腐葉土3落ち葉が微生物によって分解されたもの。土をふかふかにし、通気性を高め、ゆっくりと栄養分を供給する。
黒土またはピートモス1保水性と肥料を保持する力(保肥性)を高める。入れすぎると水はけが悪くなるので注意。

この基本配合に、根腐れ防止剤の「ゼオライト」や、水はけをさらに良くする「パーライト」を少量加えるのも良いでしょう。そして、植え付けの際には、鉢の底に鉢底石を2~3cm敷き詰めることを絶対に忘れないでください。これにより、鉢底の通気性が確保され、根腐れのリスクを大幅に減らすことができます。

もし、「自分で土を配合するのは少し難しそう…」と感じる方や、「すぐにでも植え付けを始めたい」という方は、最初から最適なバランスで配合されている市販の培養土を使うのが最も簡単で確実です。特に花木用に作られた土は、南天が必要とする水はけと保水性を両立しているので、初心者の方でも安心して使えますよ。

おすすめの肥料と与えるタイミング

南天は本来、痩せた土地でも育つことができる非常に丈夫な植物です。そのため、地植えの場合は特に肥料を与えなくても枯れることはほとんどありません。しかし、美しい紅葉や鈴なりの赤い実を楽しむためには、適切な時期に適切な栄養を補給してあげることが大きな効果をもたらします。

肥料を与えるタイミングは、地植えと鉢植えで異なります。

地植えの場合:冬の「寒肥(かんごえ)」が基本

主に冬(12月~2月)に、春からの活動に備えるための元肥として「寒肥」を施します。油かすや鶏ふん、骨粉などが配合された有機質肥料を、株元から少し離れた場所に数カ所穴を掘って埋めます。これにより、微生物がゆっくりと肥料を分解し、春に根が活動を始める頃にちょうど良い栄養となります。

鉢植えの場合:成長期に合わせた「追肥」

鉢植えは土の量が限られ栄養が流れやすいため、年に2回の追肥が効果的です。1回目は新芽が動き出す春(3月~4月)、2回目は実が成長する秋(9月)に施します。ゆっくりと効果が持続する緩効性の化成肥料を土の上に置くか、液体肥料を水で薄めて水やり代わりに与えます。

特に実つきを良くしたい場合は、肥料の三要素(N-P-K)のうち、花や実の成長を助ける「リン酸(P)」や、根の成長を促進する「カリウム(K)」を多く含む肥料を秋に選ぶのが重要なポイントです。

逆に、葉の成長を促す「窒素(N)」が多すぎると、葉ばかりが青々と茂り、花芽がつきにくくなることがあるため注意が必要です。

肥料の与えすぎに注意!

「元気になってほしい」という思いから肥料を多く与えすぎるのは逆効果です。肥料過多は「肥料焼け」という根を傷める原因になったり、前述の通り実つきを悪くしたりします。製品に記載されている規定量を必ず守り、むしろ「少し控えめかな?」と感じるくらいがちょうど良いと心得ましょう。

ひとくちに「緩効性肥料」と言っても様々な種類がありますが、長年多くのガーデナーに愛用されている定番品は、やはり信頼性が高いです。特に、土に混ぜ込むだけで1〜2年間効果が持続するタイプの肥料は、頻繁に追肥をする手間が省けるので管理がとても楽になりますよ。

南天の木を美しく保つ手入れ

南天の基本的な育て方をマスターしたら、次はその美しさを長期間維持し、さらに魅力を引き出すための応用的な手入れに挑戦してみましょう。樹形を整え、健康を保つための剪定、お気に入りの株を増やす方法、そして成長に合わせた植え替えのポイントなど、一歩進んだ管理方法を詳しく解説します。

南天剪定で美しい樹形を保つコツ

日本人女性が庭で南天の木を16:9の比率で剪定している様子。赤い実をつけた枝を丁寧に切り、美しい樹形を保つための作業をしている光景。
イメージ:苔っと盆栽ライフ

南天の剪定は、単に大きさを整えるだけでなく、①風通しを良くして病害虫の発生を防ぐ、②株の内側まで日光を届け、生育を促進する、③古い枝を整理して新しい枝の発生を促し、実つきを良くする、という3つの重要な目的を持つ大切な作業です。

最適な時期は、赤い実の観賞が終わり、本格的な成長期に入る前の2月下旬~4月頃です。この時期であれば、翌年の開花に影響する花芽を誤って切ってしまう心配が少なく、安心して作業できます。

剪定の基本は、不要な枝を根元から取り除く「透かし剪定」です。剪定バサミを消毒し、以下のポイントに注意して枝を整理しましょう。

透かし剪定の4ステップ

  1. 枯れ枝・弱々しい枝の除去:まず、明らかに枯れている枝や、細くて元気のない枝を根元から切り落とします。
  2. 内向き・交差枝の整理:次に、株の内側に向かって伸びている「内向枝」や、他の枝とぶつかっている「交差枝」を剪定します。これらを取り除くだけで、中心部の風通しが格段に良くなります。
  3. 古い幹の間引き:南天は地面から複数の幹(ひこばえ)が出て株立ちになります。幹が混みすぎている場合は、特に古くて色が濃い幹を3年に1本程度のペースで根元から切り落とし、株全体の若返りを図ります。
  4. 全体のバランス調整:最後に、株全体を少し離れて眺め、突出して伸びすぎている枝があれば、全体の樹形が美しくなるように切り戻して完成です。

【最重要】花芽は絶対に切らないで!

南天の花芽は、その年に新しく伸びた若い枝の先端につきます。樹形を小さくしたいからといって、全ての枝の先端を同じ高さでバッサリと切り詰めるような剪定をしてしまうと、その年の花芽をすべて失い、花が咲かず、結果として実も全くつかなくなってしまいます。剪定はあくまで不要な枝を根元から間引くのが基本であることを忘れないでください。

ちなみに、剪定の仕上がりは道具の切れ味に大きく左右されます。切れ味の悪いハサミは枝の組織を潰してしまい、病気の原因になることも。植物のためにも、よく切れる専用の剪定バサミを一つ持っておくと、作業が格段に楽になり、南天も喜びます。良い道具は長く使えるので、最初の投資としておすすめです。

鉢植えで小さく育てるには?

ベランダや玄関アプローチなど、限られたスペースで南天を楽しみたい場合、コンパクトな樹形を維持する工夫が必要です。その最大のポイントは、前述の定期的な剪定にあります。

特に、数年に一度、最も古い幹を根元から思い切って切り戻す「更新剪定」を行うことで、株全体の若返りを図りながら、高さを効果的に抑えることができます。南天は非常に生命力が強い植物なので、大胆に剪定しても根元や途中から新しい芽が元気に吹いてきます。

また、2~3年に一度行う植え替えも、大きさをコントロールする絶好の機会です。鉢から抜いた際に、鉢底で固まっている古い根や、長く伸びすぎた根を3分の1程度切り詰めて整理します。根の成長を制限することで、地上部の枝葉の成長も穏やかになり、コンパクトな状態を保ちやすくなります。

矮性(わいせい)品種を選ぶのもおすすめ

これから南天を育てる方は、品種選びの段階で工夫するのも賢い方法です。「ヒメナンテン」や「オタフクナンテン」といった品種は、もともと樹高が1m未満にしかならない矮性品種なので、剪定の手間をかけずにコンパクトな樹形を長く楽しむことができます。

玄関に鉢植えを置く際の注意点

縁起物として玄関に南天の鉢植えを飾るのは、見た目にも運気的にもとても素敵ですが、植物にとっては少し過酷な環境になる可能性があるため、いくつか注意が必要です。

  1. 日照不足への対策を徹底する:南天は半日陰でも育ちますが、全く光が当たらないと、葉の色が悪くなったり、花や実がつかなくなったりします。理想は明るい日陰ですが、それが難しい場合は、週に2~3回は屋外の明るい場所に移動させて日光浴をさせてあげるなどの工夫が不可欠です。
  2. 風通しを常に意識する:空気が滞る密閉された空間は、うどんこ病などの病気や、カイガラムシなどの害虫が発生しやすくなります。定期的に玄関のドアを開けて空気を入れ替えたり、小型のサーキュレーターで穏やかな風を送ってあげたりするのも有効な対策です。
  3. エアコンの風は絶対に避ける:エアコンの室外機から出る熱風や、室内機の冷風が直接当たる場所は、植物にとって極度のストレス環境です。葉が急激に乾燥し、傷んだり枯れたりする大きな原因になるため、置き場所には細心の注意を払ってください。

挿し木で南天の木を増やす方法

日本人男性が庭で南天の挿し木を準備している様子。剪定ばさみを持ち、根のついた小さな枝を鉢に植えようとしている光景。背後には赤い実をつけた南天の木が見える。
イメージ:苔っと盆栽ライフ

お気に入りの南天をご友人におすそ分けしたり、庭の別の場所に植えたりしたい場合は、「挿し木」という方法で比較的簡単に増やすことができます。適期は、植物の成長が活発で湿度が高い6月~7月の梅雨時期か、気候が安定している9月~10月です。

初心者でもできる!挿し木の手順

  1. 挿し穂の準備:その年に伸びた、病害虫のない元気な枝を先端から10~15cmほどの長さに切り取ります。
  2. 葉の整理:先端についている葉を2~3枚だけ残し、蒸散(葉から水分が抜けること)を抑えるために、それより下の葉はすべて付け根から取り除きます。残した葉も、大きい場合は半分ほどの大きさに切っておくとさらに成功率が上がります。
  3. 水揚げ:切り口をよく切れるカッターなどで斜めにスパッと切り直し、断面積を広くします。その後、コップなどに入れた水に切り口を1~2時間ほど浸けて、十分に水を吸わせます(水揚げ)。
  4. 土に挿す:清潔な挿し木用土(赤玉土小粒や鹿沼土、市販の挿し木用土など)をポットに入れ、あらかじめ指や棒で穴を開けておきます。水揚げした枝の切り口に、発根促進剤(ルートンなど)をまぶしつけ、準備した穴に枝の3分の1から半分ほどが埋まるように優しく挿します。
  5. 管理:たっぷりと水を与え、その後は土が乾かないように注意しながら、直射日光の当たらない明るい日陰で管理します。

順調にいけば、1~2ヶ月ほどで根が出てきます。新しい芽が伸びてきたり、枝を軽く引いても抵抗を感じるようになったら、発根が成功したサインです。

地植えへの植え替えのポイント

鉢植えで元気に育てていた南天が大きくなり、鉢底から根が見えたり、水やりの際に水の浸透が悪くなったりしたら、それは「根詰まり」のサインです。より広い場所でのびのびと育ててあげるために、地植えへの植え替えを検討しましょう。

植え替えの適期は、植え付けと同じく植物への負担が少ない春か秋です。作業を成功させる最大のポイントは、根鉢(根と土が一体化した部分)を丁寧に扱うことです。

鉢から抜いた株の根鉢は、ガチガチに固まっている場合でも、無理にすべてを崩そうとせず、肩と底の部分の古い土を軽く落とし、固く巻いた根を少しほぐす程度にとどめましょう。根へのダメージを最小限に抑えることが、植え替え後のスムーズな活着に繋がります。

植える穴は、根鉢の直径の2倍ほどの幅と、根鉢と同じくらいの深さを掘ります。掘り上げた土には、腐葉土や堆肥を3割ほど混ぜ込んで土壌を改良しておきましょう。

植え付け後は、根と土の隙間を埋めるように、水をたっぷりと注ぎます。この時、株の周りに土手(水鉢)を作ってあげると、水が流れ出さずに効率的に浸透します。根がしっかりと付くまでの数週間は、土の表面が乾燥しないように注意深く管理してください。


南天の育て方に関するよくある質問

ここでは、南天を育てる中で多くの方が疑問に思うことや、直面しがちなトラブルについて、その原因と具体的な対策を詳しく解説します。事前に知識を持っておくことで、いざという時に慌てず的確に対処できるようになり、南天との暮らしがより一層楽しいものになるはずです。

南天に実がたくさんつけるには?

中年の日本人男性が庭で南天の赤い実を観察している様子。枝いっぱいについた実を手でそっと確認し、実を多くつけるための育て方をイメージさせる光景。
イメージ:苔っと盆栽ライフ

「葉は青々と元気なのに、期待していた赤い実が全くつかない…」というのは、南天の栽培で最も多く寄せられる悩みのひとつです。南天の実つきは、単一の原因ではなく、いくつかの要因が複合的に絡み合っている場合がほとんどです。実つきを良くするためには、以下の重要なポイントを一つずつ見直してみましょう。

プロが教える!南天の実つきを良くする5つの秘訣

  1. 十分な日当たりを確保する:南天は半日陰を好みますが、それは「全く日向がダメ」という意味ではありません。花を咲かせ、実をつけるためには相当なエネルギーが必要で、そのためには光合成が不可欠です。最低でも一日のうち4~5時間は日が当たる場所で管理しましょう。日照不足は、花が咲かない最大の原因となります。
  2. 開花期(6~7月)に雨を避ける:南天の花は小さく、おしべの葯(やく)が裂けて花粉が出る仕組みですが、自家受粉しにくい性質があります。特に開花期が梅雨と重なるため、長雨に当たると花粉が流されてしまい、受粉がうまくいきません。鉢植えの場合は、この時期だけでも雨の当たらない軒下やベランダに移動させるだけで、実つきが劇的に改善されることがあります。
  3. 剪定の時期と方法を厳守する:前述の通り、南天の花芽はその年に伸びた若い枝の先端につきます。剪定の時期を間違えたり、樹形を整えるために全ての枝先を切り詰めたりすると、花芽ごと切り落としてしまうことになります。剪定は必ず実が終わった後の2月~4月に、不要な枝を根元から間引く「透かし剪定」を基本としましょう。
  4. リン酸・カリウムを多く含む肥料を与える:植物の成長には窒素・リン酸・カリウムの三要素が重要ですが、それぞれ役割が異なります。特に、花や実の成長を助けるのが「リン酸(P)」です。秋に施す「お礼肥」として、リン酸を多く含む肥料(パッケージのN-P-K比率でPの数字が大きいもの)を与えると、翌年の花芽形成を助け、実つきが良くなります。
  5. 異なる品種を近くに植えて他家受粉を促す:南天は一本でも実はなりますが、より確実に、そしてより多くの実をつけさせたい場合の裏ワザとして、シロナンテン(白実南天)など、遺伝的に少し異なる品種を近くに植える方法があります。これにより、虫などを介して異なる株の花粉が交わる「他家受粉」が促され、結実率が格段に向上することが知られています。

これらのポイントを総合的に見直し、ご自身の南天の生育環境を改善することで、翌シーズンには可愛らしい赤い実に出会える可能性がぐっと高まります。

南天の実がなるまで何年かかる?

南天が実をつけるようになるまでの期間は、その株がどのようにして育ったかによって大きく異なります。

種から育てた場合は、発芽してから株が成熟するまでに非常に長い年月を要します。個体差や生育環境にもよりますが、一般的に開花し、結実するまでには早くても4年~5年、場合によってはそれ以上かかることも珍しくありません。まさに、気長にその成長を見守る楽しみ方が求められます。

一方、園芸店やホームセンターなどで販売されている苗木から育てる場合や、挿し木で増やした場合は、すでに親株の性質を受け継いだ、ある程度成熟した状態からスタートできます。

そのため、より短期間で実をつけ始めます。順調に育てば、植え付けてから2~3年で最初の実をつけ始めることが多いでしょう。すぐにでも赤い実を楽しみたい方は、苗木から育てるのが最も確実な方法です。

南天の葉が落ちる原因と対策

中年の日本人男性が庭で落ちた南天の葉を手に取り、原因を調べている様子。背後には赤い実をつけた南天の木があり、葉が落ちるトラブルとその対策を連想させる光景。
イメージ:苔っと盆栽ライフ

南天は一年を通して葉をつけている常緑樹ですが、時として葉が落ちることがあります。それが生理的な現象なのか、それとも何らかのトラブルのサインなのかを正しく見極めて、適切に対処することが大切です。

生理的な落葉(自然な新陳代謝)

常緑樹といっても、一枚一枚の葉に寿命がないわけではありません。特に春、暖かくなって新しい葉が次々と展開してくると、古い下の葉がその役目を終え、黄色や美しい赤色に紅葉して自然にハラハラと落葉します。これは健全な新陳代謝の証なので、心配する必要は全くありません。

トラブルが原因の落葉

もし、季節に関係なく新しい葉も含めて一度にたくさんの葉が落ちたり、葉が青々とした緑色のまま力なく落ちたりする場合は、何らかのトラブルが発生しているサインです。主な原因としては以下が考えられます。

  • 極度の水切れ:特に真夏の鉢植えは、朝に水やりをしても夕方にはカラカラに乾いてしまうことがあります。水切れを起こすと、植物は自身の水分蒸発を抑えるために葉を落とすことがあります。土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷりと水を与える、という基本を徹底しましょう。
  • 根詰まり:鉢植えで2~3年以上植え替えをしていない場合、根が鉢の中でパンパンに詰まってしまい、新しい根を伸ばすスペースがなくなります。こうなると、水分や養分をうまく吸収できなくなり、株が弱って葉を落とします。一回り大きな鉢に植え替えるか、同じ鉢でも根を整理して新しい土で植え直しましょう。
  • 病気の発生:湿度が高く風通しが悪い環境では、カビが原因の病気が発生しやすくなります。「葉枯病」は葉に褐色の斑点ができて枯れ落ち、「すす病」はカイガラムシの排泄物を栄養源に葉が黒いすすで覆われます。風通しを良くするための剪定が最大の予防策です。病気にかかった葉は速やかに取り除き、被害が広がるようなら対応する薬剤の散布を検討します。

南天の赤い実には、「o-メチルドメスチシン」という成分が含まれ、咳止めなどの効果があるとして、常盤薬品工業の「南天のど飴」のように医薬品としても利用されています。

しかし、これは専門的な知識と技術に基づいて製品化されたものです。葉や実には、微量ながらアルカロイド系の有毒成分も含まれているとの情報もあります。専門的な知識がないまま安易に口にすることは絶対に避けてください。あくまで観賞用として、その美しさを楽しむことを基本としましょう。

ポイントを押さえて南天の木の育て方を楽しもう

この記事では、縁起の良い木として愛される南天の育て方について、基本となる環境づくりから、美しい樹形を保つための剪定、そして多くの人が悩む実がつかない問題や葉が落ちるトラブルまで、幅広く、そして深く掘り下げて解説してきました。

最後に、あなたが南天を育てる上で特に覚えておいてほしい重要なポイントをまとめます。

  • 生育場所は強すぎる直射日光を避けた、日当たりと風通しの良い半日陰がベスト
  • 剪定は実が終わった後の2〜4月が適期、花芽がつく枝先を切らないように注意する
  • 実つきを良くするには開花期の雨よけ、秋の追肥、そして異品種の混植が効果的
  • 鉢植えは2〜3年に一度、根を整理しながら一回り大きな鉢へ植え替えを行う

縁起の良い南天は、その背景にある物語も魅力的ですが、少しのコツを押さえるだけで、誰でも元気に美しく育てることができる、とても付き合いやすい植物です。

この記事を参考に、まずはご自宅で育てている南天の状態を愛情を持って観察することから始めてみてください。そして、これから南天を迎えようと考えている方は、ぜひ園芸店でお気に入りの一鉢を探し、あなたの暮らしに幸運と彩りを加えてみてはいかがでしょうか。

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